白い龍が川を下って海に出る。
真冬の寒く冷え込んだ真夜中から朝にかけて龍は現れる。
私の生れは四国、愛媛県の大洲市長浜で、赤い開閉橋が一望できる川沿いの家で生まれ育った。
目の前は肱川という一級河川であり、川の中での最大幅を持つところであった。
真冬の冷え込んだ夜、翌日が晴れそうな日に龍は現れる、世界でも珍しい現象らしい。
内陸の大洲盆地に大量の霧が発生する。
その霧があふれ出て、肱川に流れ出す。全長20kmの霧の龍となる。
同時に川面の水面からも湯気のように霧が発生し迫力を増す。
肱川嵐とか肱川をろし、などと地元の人は呼んでいる。
嵐が凄いとき、200mほど先の対岸も赤い開閉橋も見えない。
風速は15mを超える、冷たーい嵐である。
白い龍の体内を、小中高と赤い橋を通って学校に通った。
今でも寒さや風の強さ、肌感覚、嵐の匂い、そして光景を鮮明に思い出せる。
私の人格を形成するのに、多大な影響をもたらしているだろう。
みなさまには、どんな思い出がありますか。
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